36話 それって本当に誰のため?という謎に植えつけられた倫理観を見つめ直そう

最近、大学時代の友人から電話が来た。

医学部出身で医者になった彼は大学時代に同じ寮で長く遊んだ変わり者だ。

 

大学1年のある日、その友人が私に

「おもしれ―動画見つけたから見てくれ!」

と携帯を見せてきた。

 

脳性麻痺ブラザーズ》という芸人のコントの動画だった。

このグループは2人組で、脳性麻痺という障害があり、舌や体をうまく動かせない。

 

私はこれを見て爆笑して真似をしている友人がおかしく見えた、医療者としての倫理観はどうなっているんだ。そう思っていた。

 

「これは笑っていいのか分からん。」それしか言えなかった。その時の私は笑うこともできず、倫理観にとらわれていた。

(倫理観:「社会生活を送るうえで守るべきことを守った考え方」という意味)

 

友人は私に言った。

「彼らは笑ってほしくて芸人と言う仕事をしている。だから笑ってあげることが一番彼らにとってありがたいと思われることだと思うぜ、だから笑っていいのさ」

当時の私は、こんなやつが医者になるのか、と思っていたが、当時の彼は私の倫理のずっと先に居たようだ。

 

 

噛み砕いて考えてみると

私は、何が倫理なのか、社会で生きていくうちに正しいことが何かも知らないまま、無意識に他人の倫理に考えを支配されていた。

実際にこの状態に気が付かず、本当に大事なことを見失っている人が多いようにも見える。

 

自分はこのことを、「プーと大人になった僕という映画で学んだ。

 

主人公のクリストファーロビンが大人になり仕事に明け暮れる。妻と子供の生活の為だ。

それなのに、家族で過ごす時間は無くなっていき、妻は子供を連れて出て行ってしまう。

 

家族のために仕事をしすぎて、家族に見放される。

完全に何が正しいのかを見失ってしまっている。

 

これは他人事ではない、物事の本質が何かを見失っているよくある現実である。

物事の本質を掴むために本が存在すると思っている。日本で本を読む人は少なく感じる、本を読む人が少ないからこそ、本質が掴めないまま、空回りしてしまう人が多いのではないだろうか。

 

 

我々は今やっていることがなんのためかを、原点に戻って考える必要がある。

ただ少し、考えるだけで、失うことが決まっている未来を取り戻せるかもしれない。