42話 こっちがいい!という選択肢を取り続けてきたはずなのに

オーストラリアで語学学校を卒業する最後の授業の日だ。

私はおちゃらけ者で、学校内では友達もかなり多く、有名なキャラになっていた。

 

たまたまあいさつ回りでいろんな教室に顔を出していた時、ある教室で、同じ日に卒業する子がクラス内スピーチをしていた。

 

私は、「おっと、邪魔したね」と言って帰ろうとすると、その担任の先生に止められた。

50代できれいな女性の先生だ。

「あなたも今日卒業じゃないか!是非スピーチして言ってよ、みんな聞きたいと思うよ!」

 

私はしぶしぶ即興でスピーチをすることになった。

いつもふざけていたから、みんなどんな面白い話をしてくれるかと期待している顔だった。

 

私は話した。

「俺は日本でうつ病になって、生きるのをやめようと思った。

気づいた時には、笑うことも、泣くことも全部忘れてしまってた。

それでも何故か生きようと思ってオーストラリアまで来た。

今まで自分がしてきた選択はすべて間違ってたと思ってたけど、ここに来た選択だけは間違ってなかった。

周りの友人にも恵まれて自分の生きる価値を実感できた。生きるという選択肢を取らせてもらったことに、みんなに感謝したい。」

 

 

普段ふざけている自分からの最後の感謝の気持ちだった。みんな泣いていた。

「なんでそんな過去があるのにふざけてへらへらしてるんだよ」と一人の女の子に言われたのを今でも覚えている。

 

噛み砕いてみると

それは、ふざけてへらへらするという選択肢を取っただけだ。ある種、他人を元気づける力になりたいという自分の傲慢さの為かもしれない。

落ち込んで、下を向いて生きていくよりも前を向いて歩いてるやつの方が魅力的だということが今ならわかる。

 

あなたは自分の選択に誇りを持って生きているだろうか。