私は大学の時、1年間学校近くの寮に住んでいた。
子供の頃から問題児だった私は、もちろん大学でも問題児だった。
寮に入って、いたずらっ子(今はみんなお医者さんなど)と仲良くなり、いろんなことをした。
天井を壊して天を仰ぎに行ったり
マンホールを開けて地下の冒険にでたり
クマが出た時に、火炎放射器を作ってクマと戦いに行ったり
なかなかひどかっただろう、寮には門限があったが、3階から降りて脱獄したこともある。
毎回のように寮母さんに怒られていた。
この寮母さんはめちゃめちゃ怖いが、なんだかすごく根がいい人のような気がして、不思議と嫌いになれない人だった。
私は友人と、寮母さんの誕生日にサプライズで花をプレゼントしようとなり、サプライズ企画を考えた。
寮母さんを呼び出して、寮のみんなで「誕生日おめでとう!」と拍手で迎えて花をプレゼントするというものだ。
そんなことを企画しているある日のこと。。。
寮には自販機が置いてあった。
一般的な缶のサンプルが並べられた自販機ではなく、プラスチックの透明の板越しに、実際に商品が並んでいて、ハンドアームの様なものが動いて商品を手前に落としてくれるというようなものだ。
私「これ揺らしたら落とせるんじゃね?」
と悪魔のささやきが友達を動かしてしまった。
友達と私で揺らし始めたが、思った以上に商品は落ちない。
友達がふざけ半分で正面からぶつかると、まさかの商品越しの透明のプラスチック板が割れてしまった。
この板を外せば商品はとれるが、それ以上に「大変なことになった。。。」と不安になった。
別に商品が欲しくてこんなことをやっている訳ではない。
ただの好奇心だった。
「自販機壊してもうた。」
これはシラを切ってなかったことにしよう。
と決めたが、人は不思議なもので、悪いことを隠しているとお腹の底から不思議な違和感があふれてくる。。
そんな時に、寮母さんの誕生日が近づいていた。
なんて言って、寮母さんをみんなが集まるところに呼び出すか考えた結果
友人と、「自販機壊しちゃいましたっていって呼び出そうぜ」と言う話になった。
寮母さんの誕生日の夜、私と友人で寮母さんのところへ
「ごめんなさい、自販機壊してしまいました。」としょんぼりしながら言った。
寮母さんは、「は?本気で言ってるの?」
と今にもブチギレ寸前だった。
「とりあえず見に来てほしい」と寮母さんをみんなの隠れる大広間へ呼び出した。奇遇にも壊したのはその部屋の自販機だ。
寮母さんが部屋に入ってくるなり
「パーンッ!!!」
クラッカーが鳴り響きサプライズの誕生日会が行われた。
寮生が集まり、花をプレゼントして、寮母さんは涙ながらに感動しているようだった。
寮母さんというのは大変だろうが、こういうのが一番のやりがいなのかな。と子供ながらに感じていた。
そして、終わってみんなが解散している時に私と友人は寮母さんのところへ向かった。
「で、寮母さん自販機の件なのですが、、、」
と言って話したら、どえらい怒られたという話。。。