⭐︎指摘されたらすぐに言い返すんじゃない! 思考訓練4

 

 

誰かに指摘されたら反撃のごとく、相手のあら捜しに意識が飛んでいませんか?

指摘とは自分の手の届かないところを磨き上げる特別なブラシだと思って考えて見ましょう。

 

 

私「生きていると、他人の気になる部分を指摘することってありますよね。年上とか関係なく年配の人にも不快に思ったことを言ってしまうんことがあるんです。仕事上でもそうですが。

そうすると、”おまえはどうなんだよ”とか、”お前もここがなってない”っていきなり逆に反撃してくる人がいるんです。

 

私が言った話はどこ行った?ってなるんですが、どうしてこんなことが起きるんでしょうか?日常でよく見かけます。」

 

大賢者

 『よくあることだね。まず、すぐ反撃をしてきた人の中で君が、この人は立派な人だなって心の底から君や他の人から尊敬されているような人はどれくらいいたかな?』

 

私「今のところ思い当たる人はいないです。」

 

大賢者

 『そうかぁ。まず君への指摘の一つとして、人のいいところをうまく探せていないという欠点があるみたいだからそこは押さえておいてね。

それと、すぐに反撃してくる人は人間としてまだ未熟な部分が磨かれていないんだ。それは実はとても怖いことなんだ。』

 

私「ご指摘ありがとうございます。確かに人の悪い部分に目が行きがちでした。

未熟な部分?」

 

大賢者 

 『未熟とは、磨けていないずっと変わっていない部分。個性ともいわれるけどね。

今私がした指摘に対して君が反撃して受け入れなかったら、君はずっと人のいいところを探すことから目を背けるか、そのことすら忘れて生きていくことになる。

それがいい個性として生きればいいんだけど、指摘されるということは不快に思う人も存在しているという証明なんだ。

怖いのは大人になるにつれて、指摘してくれる人っていうのはだんだん少なくなっていくっていうことだよ。

 

”何十年も長く生きている人に言っても変わらないだろうな。”とか”この人はこんなこともきちんとできないまま生きてきて指摘してくれる仲間もいないのかな”って思われて生きていく。年とともに人間ができていくっていうような暗黙の了解があるからね。

 

私「年を取るとともに指摘してくれる人が減ったら変わるチャンスがだんだんなくなってしまうじゃないですか。」

 

大賢者

 『人からは言われなくなるけど、自分で気づくということもできないわけじゃないよ。本を読んだり、自分の考えを書いたり、誰かに自分の短所をきいたりすることもできるよね。

指摘っていうのは言い換えると、自分で届かなところを磨くブラシのようなものだよ。

自分で見える部分は自分で洗えるけど、人によっては自分で見えなくて自分では届かない部分もある。そういうところを磨いてくれるのが指摘っていうものなんだ。』

 

私「それじゃあ指摘を受け入れないと、汚れた部分はずっと汚れたままってことですか?なんか汚いですね。」

 

大賢者

 『そういうことだね。どんなきれいに見えても体の一部にカビが生えてたら嫌でしょう。

ただ大事なことは、それが本当に汚れなのか、ブラシは自分に適したブラシかってこと。』

 

私「汚れじゃない汚れに見える別の何かがあるってことですか?」

 

大賢者

 『察しがいいね。実は汚れじゃなくて、消えない傷かもしれない。ほくろのようなできものかもしれない。

もしかしたら見ている人が、幻覚が見える人だとしたら?それは汚れでも何でもないんだ。

これが私が考える個性っていうものなんだ。

 

それとブラシについてもだけど、全然汚れてない人に毛が太くて固いブラシは合わないし、汚れが強い人に細くて柔らかすぎるブラシでは汚れは落ちない。その人に適した指摘っていうのも存在するから覚えておいてね。

 

私「なるほど、必ずしも人の指摘は正しいかは自分で判断して、一度は内容を受け入れてみないといけないってことですね。

理不尽な指摘もあるけど、何度もされたらそこは改善の余地がありますね。」

 

大賢者

 『うん、そういうことだよ。

指摘を受け入れられない人は、自分が下がってしまうのが嫌だっていう防御反応もあるから、攻撃してるのではなくて、ブラシを渡しているって伝えればいいんだ。背中にカビが生えてるよって伝えればいい。なんでも早く気付いたほうがいいからね。

この話が分かったら思考訓練5に行ってみようか。』

 

 

プロカウンセラーの聞く技術

プロカウンセラーの聞く技術

  • 作者:東山 紘久
  • 発売日: 2000/09/01
  • メディア: 単行本