42 いじめっこからイジメられっ子になった友人 続

彼は小学生時代に同級生の少し障害のある子をいじめていた話をした。

 

同級生に会話がうまくできずに、少し顔が歪んでいた男の子Iがいた。

私の友人はその男の子Iの顔がただ気に入らないというだけで、顔をひっぱたいたりと暴力を振るっていた。

 

そしてそれはクラスだけでなく、学年でも話題になり、彼は男の子Iの家に謝りに行くことになった。

 

彼は相手の親が自分に罵声を浴びせて怒ってくると思っていた。だが違った。

 

Iの親は、

「次はあなたが守る側になってください」

ただ、それだけを言ったようだ。

 

この年になって聞いても器の大きい親だと思って感激してしまうが、彼は小学生ながらにして何を思ったのだろうか。

 

彼はIに二度と手を出さなくなったようだ。

 

私は、なぜIをいじめていたのかを聞いた。

 

彼は、ただイライラをぶつけていた。それはIが何かをしたとかそういうことではない。

 

彼の周りがみな、彼の兄をすごく認めていたことが大きな原因だったという。

彼の兄はイケメンで、足も速く、スポーツ万能で、みんなが彼の兄に注目していた。それは学校の同級生だけでなく、家族もだ。

 

そんな劣等感の中で育った彼は、自分の居場所を探していたのかもしれない。

その居場所は暴力でしかなかったのだろう。

 

なぜその問題に気づいてあげられる人が周りにいなかったのだろうかと悔やまれる。

 

人はみんな認めて欲しい生き物だ。

人は比べる必要なんてない、だってみな別々のところでイカせる技術を持っているのだから。

 

この比較を続ける日本にいい未来なんてない。

お金を持っている人が偉いという風潮が止まない日本に、本当の平和があるのだろうか。