16話 仕返ししてもいいですか?ダメです

私は人からよく相談を受けることがある。

心理カウンセラーの資格を以前に取ったので、たまに人の相談を受けるときはまじめに考えて答える。

 

37歳子持ちバツ1で彼氏をずっと探している女性のある相談だ。

彼女は常に彼氏が欲しいという、いわゆる恋愛体質である。

 

頭がいいかどうかは別として、容姿は抜群に整っている。

 

そして、彼女にネットで出会った彼氏ができたという。

最初はうまくいっていたが、途中からどこかで歯車が狂いだしたのだろう。

彼氏から連絡が少なくなっていき、ついには返事も来なくなったという。

 

電話にも出ない。

 

私に来た相談は、「1日も携帯を見ない日なんてあるのか、私は嫌われたのかどうか」というものだった。

 

それは99%嫌われている。

いちビジネスマンで携帯を見ないなんてことは、ヴィパッサナー瞑想でも始めるか、ジャングルでデジタルデトックスでも始めた人でない限りはあり得ない。

 

それでラインの返事は来ないし、電話も出ないけど、ラインのアイコンが変わっているのに気づいてしまったらしい。

 

彼は携帯を見ていた。

自分は思った。そもそも、その人は本当に彼氏だったのか。

 

彼女は私にこんなことを言った。

「返事が来ないから会社に連絡してもいいだろうか。」

 

私は絶対にやめるように伝えた。

 

気持ちはわかる、ものすごく気持ちはわかる。

これはある種の正義感だろう。まともに戦いに向き合わないで逃げるやつを撃ちたい。そんな気持ちになる。

自分が嫌な思いをしたんだから、お前も同じ苦しみを味わえとか。そんな気持ちになることもわかる。

 

でもそれがいったい何になるだろうか。

 

自分と連絡を取りたくない人と、無理やり連絡を取るために会社に電話して、彼は喜ぶだろうか。

 

自分にはなんおメリットがあるだろうか、本当にそれで自分が気持ちよくなれるのだろうか。

 

 

ここで噛み砕いて考えてみよう。

自分に利益のない憎しみに費やす時間があるなら、どうすれば自分がもっと幸せになれるかを考えて次のステップを歩みだす時間に費やしたほうがいい。

 

復讐はまた新たな復讐を生む。

 

相手にし返しして、気持ちいいなんて麻薬のような一時の感情にしがみついているような人は幸せから離れていく。

 

自分が本当に望んでいる人が望むものが何かを考えることも、主人公の自分の未来を明るくする通過点なのかもしれない。