56話 人生には逆転の一打がある。

自分がオーストラリアの語学学校に入学したてて友達も全然いない頃だ。

 

学校一の人気者になると目標がありながら英語も全然話せず、話しかけることもできない自分は知り合いが何人かいる程度で1日1日を過ごしていた。

 

寮生活だが、自分の住む2人部屋x4部屋がある棟には台湾人の馬が合わない男の子と2人暮らしで輪も広がらない。

2~3週間くらいここで苦痛の生活をした。

 

お金もあまりないので毎日、朝昼晩、トーストにサラダとハムを挟んで口にして生活していた。

 

俺はこのままつまらない学校生活を終えてしまうのか、と思いながら布団にくるまっていた夜、

リビングから騒ぎ声が聞こえた。

 

顔を出してみると、ブラジル人の大中小のサイズの3人が立っていた、話してみると

「今日からこの部屋に住むことになった」 と英語が流暢な中くらいの男が言ってきた。大小の2人は英語がそこまで得意ではないようだが簡単な会話位は出来るようになった。

 

彼らも語学学校に通うが、私とは違う学校だった。

しかし、同じ屋根の下で暮らす者同士、夜はご飯を共にし、一緒にサッカーをしたりして遊ぶようになった。

台湾人の男の子は部屋でゲームをしていて遊びには入ってこなかった。

 

私は、3人の中でも一番大きい、身長190cmほどのブラジル人のティアーゴと一番仲良くなった。

お互いブラザーと呼び合うほど、短い間ではあったが兄弟のように遊んで過ごした。

 

ある日私は、

「ブラジルのあいさつを教えてくれないか?興味がある」 とティアーゴに言うと

 

「いいぜブラザー!この一言で一発で仲良くなれる。カラーヨ って挨拶だ。こんにちは みたいなもんだよ」

 

私はメモし、語学学校で使おうと思った。

(ブラジルはポルトガル語を使う国である。)

 

私の語学学校では、ブラジル人が一番多かったのでブラジルのあいさつができれば友達が増えるかもしれない。

私は、翌日、教室に着くとブラジル人のクラスメイトに「カラーヨ」と言った。

クラスメイトはニコニコしながら「カラーヨ」と言い返してきた。

 

おお!これはありだ。学校での人数が多い国の言葉を使えれば必然的に友達も増えるはずだ!

そう思い、英語だけでなくポルトガル語を勉強した。

 

そこから人生が変わった。ポルトガル語の上達と共に、ブラジル人の友達がどんどん増えていった。

私の言う「カラーヨ」という風変わりな挨拶は学校でも話題になっていった。

 

私にとって孤独から自分を救った逆転の一打だった。

 

 

そんなある日、一人のブラジル人の女の子が言ってきた。

「あなたはカラーヨの意味を分かって使ってるの?」

私は「わかるよ。ハローみたいなもんでしょ?」

 

すると女の子は冷静にトーンを落として言った。

「ちんこって意味だよ」

 

私は、そうなんだ。くらいの反応をしていた。

 

噛み砕いて考えてみると。

言葉の本当の意味より、言葉が私に与え人生を変えた意味の方が大事だった。

これが自分の人生のリカバリーショットだ。

 

そこからブラジル人の枠を超え学校中に友達ができた。

 

ブラジルのサンバのダンスパーティのプロモ映像にも載ったり、体にタトゥーシールを貼って体に貼ったり、ちんこのヘナタトゥーを腕に入れたり、バルーンを飲み込む動画が学校のサイトに載ったりと、気づいたら学校の人気者になっていた。

 

目標は忘れた時に達成しているものだと気づいた。

 

辛いことがあると、あきらめたくなるが、人生には逆転の一打がある。

それを打てるように行動することが大切である。そう学んだ1日だった。